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「高額医療費負担」廃止の議論について思う事

みなさん、こんにちは。FP黒田尚子です。

とにかく暑い!暑いです!ということで、背筋がひんやりしてしまうお話をひとつ。

7月26日、財務省から「令和4年度予算執行調査」の結果を発表しました。

予算執行調査というのは、聞き慣れないかもしれませんが、効率的な財政資金の活用や、無駄な歳出の削減のために財務省や、財務省の総合出先機関である財務局が行う予算調査のこと。

国の予算編成に役立てる目的で、2002年度から塩川正十郎財務相(当時)の発案で始まったといいます。

個人家計でも、ムダな支出がなかったか家計簿を振り返ったりするのは大事なことなので、国単位でも必要だと思いますが、逆に、塩じいが提案するまでやってこなかったのっ!?ってそっちの方が驚き。

さて、今回、その調査結果に注目が集まっています。

その理由は、国民健康保険の高額医療費負担金の廃止が提言されていたため。

私もネットニュースで見出しだけ見ましたが、一瞬「高額療養費が廃止になるの!?」と焦りました。

毎日新聞「高額医療費負担、財務省「廃止を」 省庁の無駄、予算執行調査

良かった、公的医療保険の高額療養費のことではないらしい。

財務省のHPで、以下の資料を確認すると、

※財務省「令和4年度 予算執行調査の調査結果の概要

国は「高額な医療費(1件80万円超)が発生した場合の国民健康保険財政の影響を緩和するため、「国民健康保険法」第70条第3項に基づき、高額医療費負担金として、国と都道府県が高額医療費負担対象額の1/4ずつを負担している。本調査において高額医療費負担金の見直しについて検討を行う」とあります。

そうなんだ~。

要するに、国民健康保険の被保険者が80万円超の医療費がかかった場合、国が「高額医療費負担金」として、医療費を肩代わりしてくれていたのね。知らなかった…。

高額療養費が廃止されるわけではなさそうなので、ちょっとほっとしたのもつかの間。

いやいや、待て待て。今回の調査では「高額医療費の発生による市町村への影響は限定的である」って書いてあるけど、ホント!?

その理由は、2018年度から、国民健康保険の運営は、都道府県に移行されていて、市区町村の財政を脅かす!ような懸念は解消されている。らしい…

国民健康保険制度の改革について詳しくはこちらの資料↓

※第133回社会保障審議会医療保険部会(令和2年11月12日) 国民健康保険制度について

えーでも、都道府県間の差はあるよね??結局、国民健康保険の保険料(税)を上げざるを得ないよね??今だって、病院一切行かないのに、すごい保険料が毎月引かれてる…

医療費負担のために他の行政サービスを削ったりしないかなあ。

確かに、国民医療費の増加は見過ごせない問題ではありますが、実際に、病気で苦しむ方を支援している立場としては、医療サービスの削減や負担増は何とかならないものかと思います。

今回の調査には「(3)マイナンバーカード交付事務費補助金」もあったけど、利用メリットがほとんどないマイナンバーカードの普及に、これ以上、お金つぎ込むのはどうなの!?

私もマイナポイント2万円分、がっつりいただきましたが、何だかむなしくなってきた。

マイナンバーカードを健康保険証として利用する原稿もたくさん書いたのに、4月から診療報酬の改定で使用すると加算がついて負担が増えるし。

3割負担で21円。再診で月1回12円、調剤9円と、微々たるものかもしれませんが、チリツモですよ。

ただ、あまりに反発が大きいので(そりゃあ、当たり前じゃない!)8月の中医協で廃止に向けた議論が行われているようです。

でも、マイナンバーカード普及のための医療機関へのインセンティブとして、他に「加算」を作らざるを得ないでしょう。

ちなみに、高額医療費負担に関して、財務省は、まず80万円としている基準額を引き上げて、予算規模を大幅に縮減すべきとおっしゃってます。

多くの国民が気付かない間に、大事なことがどんどん決まっていってしまう。

思わず、背筋が凍ってしまうお話でした。